歌舞伎座で江戸のアイデンティティーを知る

まだ日本には、日本心というか「江戸文化」が残っているところがあります。
先日、歌舞伎座に行ってきました。
私は、地芝居歌舞伎は何度も見ていましたが、歌舞伎座ははじめて。
新しい発見がいっぱいありました。
一言でいうなら、歌舞伎座は、
「まるで江戸文化がそのまま残っているところ」でした。
例えば、幕の内弁当。
幕の内弁当の由来は、芝居の次の幕までの休憩時間「幕間(まくあい)」に食べる弁当。
その由来は知っていたのですが、休憩時間になると、本当に皆さんが、席でお弁当を広げ食べ始める。
その光景をはじめて見た私は、とっても不思議に思えました。
例えば、コンサートに行っても、休憩時間に席にお弁当を食べないですよね。
でも、歌舞伎座では、休憩時間になるとゴソゴソと袋を出して、ほぼ全員がお弁当を食べはじめる。
これは歌舞伎座ではお決まりごとらしい。
他にも不思議だったのが、芝居中に観客席の方が、「中村屋」とか「〇〇屋」など声を発する。
この言い方にも個性があり、猫の鳴き声のように発する人もいれば、文章を読むように発する人もいる。
この発する声で舞台を盛り上げているのだが、歌舞伎座特有の世界観で、不思議さと面白さがありました。
また、ふと江戸時代に人たちの目線になってみると見えてくるものがありました。
例えば江戸時代には、テレビもインターネットもありません。
よって、娯楽というものが歌舞伎や寄席くらいしかありませんでした。
当時の江戸に人たちにとって、歌舞伎はトレンドであり、夢のような非日常の娯楽だったと思います。
色彩豊かな舞台美術、そして役者の華やかな衣装は、ワクワクする夢の世界。
歌舞伎役者は、民衆のスターであり、プロマイドとして葛飾北斎の版画が売れたりしたのでしょう。
現代は、あまりにもたくさんの情報や娯楽があるおかげで、慣れすぎてしまい非日常の夢のような体験をすることができなくなっています。
贅沢病なのかもしれませんが、ワクワクする夢のような体験ができないもの不幸なのかもしれません。
過去には戻ることはできませんが、江戸の粋な姿をみて、日本人のアイデンティティーを見つけるのも粋ではないでしょうか。
きっと、新たな発見に出会えることでしょう。